2017.5.29
団地のはなし
窓の数だけ、物語がある!
「団地のはなし」
彼女と団地の8つの物語。
同じ団地の、同じ間取りに暮らしていても、
家族構成、年齢、性別、生活サイクル、環境、心境によって
人の数だけ物語がある。
同じ「ワク」だからこそ、
各々の個性が浮彫になり、面白い。
外からみるダンチ、
中からみるダンチ。
私自身は、いわゆる「団地」ではないが、
幼少期、4階建て階段室型の社宅の4階に暮らしていた。
各家の玄関扉は大抵開け放されていて、
友人たちの家は自由に行き来していた。
社宅だから、父親の勤務先は皆同じで、
みなの生活サイクルも割と近かったのだろう。
夕方になると、ベランダから
「ごはんよ~」と母の声。
夕暮れ時、
「夕焼け小焼け」の音楽と共に、
呼ばれた子から次々とおうちに帰る風景。
「社宅」という特徴から、
人の入れ替わりは激しく、
引っ越しは日常茶飯事の出来事。
引っ越しの為に効率的な家具や暮らしの道具を揃えながら
お互いに立ちないことは補い合う、
もちつもたれつのお互いの関係。
雨が降ってきたら、「お隣さん」の洗濯物をとりこんであげたり、
子供のお迎えが厳しいとなったら、一緒にお迎えに行ってあげたり、
ごはんを一緒に食べたり、
社宅全体が一つの大きな家族のようだった。
「お隣さん」は、「うち」と同じ間取りなのに、
「匂い」が違う。
家具やカーテンが違う。
寝る場所や過ごす場所が違う。
なんだか不思議な感じだった。
子供の時のぼんやりとした記憶。
このぼんやりを言葉に表すと難しい。
言葉ではない、
団地にまつわる彼女たちの「くらし」「世界」が
詰まったお話。
男性目線の物語もぜひ読んでみたい。
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