佇まい
目黒区総合庁舎。
いつもはお仕事で訪れるこの場所ですが、
今回は建築ガイドツアーに参加させていただきました。
通常コース、コンバージョンコース、和室集中コース、と3コースある中で
参加させていただいたのは、全体をご案内いただく「通常コース」。
設計者、村野藤吾氏が1966年に建てた
「旧千代田生命本社ビル」を巡るツアーです。
アプローチを抜けて迎えられる曲面の庇。
「よく生んで、よいクライアントに渡り、10年、20年たったときに、よい建築になるのだと思います。
常に明るく、光を吸収でき、そして道路面から出来るだけ離して、一つの静かな町になるようにと考えたからです。(村野藤吾)」
左右で柱の数、配置が異なります。
地面に近づくほど太くなり、地面との境界を曖昧に。
要石は
危険?とのことで、通常はパイロンが置かれているそうです。
あちらこちらに、「区役所」ならではの設え。
築山。
曖昧にされた境界。
風除室を抜けると。。。
玄関ホール。
右の柱は内側に。左の柱は外側に。
微妙に芯をずらしてあります。
右の柱の足元には水盤。
外部の広場からこの開口を通し
ホール対面に配された照明が映されています。
天井には2つずつ4組のトップライト。
内部のガラスモザイクは、佐野旦平氏製作。
四季が表現されています。
「内部空間へのアプローチ、それは一つの大きなポイントです。(村野藤吾)」
ホールを抜けて正面、らせん階段。
2~4階に設けられた、来客用の動線。
段裏と硬質石膏の曲面、天井、支柱、釣り材。
床と階段の境界。
オリジナルの手摺は低く抑えられています。
中央に釣り材。
以前は照明が組み込まれていたそうです。
「気づかぬところのディテールに注意して自分自身のディテールを持つように努力することが神髄だと思います。(村野藤吾)」
大会議室入口。
白いテッセラ。外部にも使われています。
池。
渡り廊下。
1階は透明ガラス。2階は縦長のガラスブロック。
1階からの景観は、村野氏が特に好んだそうです。
「建物と水とが一体となって、「地」に親しみ、抵抗のない表現にしたかったからです。(村野藤吾)」
「心」の石。
「木を植えることは、気を植えること」
「石を置くことは、意思を置くこと」(村野藤吾)
アルミ鋳物の竪格子。
「光を跳ね返すのではなく、重厚でいて、光を吸収する彫りの深い、そして表面に影をつける。(村野藤吾)」
社員の喫茶室や厚生フロアに使われていた1階。
和室のアプローチ。
左右異なる照明。
天井。
柱。
「(現)しじゅうからの間」
普段も公開されていて、
来訪者の憩いの場。
モダンな障子。
床。
籐と葦で編まれた光天井。
「(現)しいの間」
柱が内側に。
34畳の大広間。
「(現)はぎの間」
細い障子の桟とその組み方。
格天井(当時の照明はLEDではなくやわらかい光)。
手漉き和紙に掘られた木版模様の唐長の襖紙。
円窓床。洞床。壁から透かした柱の列。
「材料と手法とは表裏一体にあることはいうまでもない」
茶室。
茶庭(露地)。
石灯篭。蹲。塵穴。雁行する下地窓と連子窓の土壁。
I型鋼と木の柱。
半割り竹を模した銅板葺の屋根。 軒裏。
茶室は四畳半。
京都、裏千家「又庵(ゆういん)」の写し。
台目床。杉の面皮柱。籐編みの光天井。茶道口。給仕口。
「この圧縮された限界空間が、人間の条件に与えるものは何であろうか。(村野藤吾)」
屋上。現目黒十五庭(屋上庭園)
見学会特別でフェンスの外へご案内いただきました。
足元に土を入れて、質感が変えられています。
広場。
中央に茶庭の吹抜。
右手に築山。
玄関ホール上部。白いドームはモザイクの天窓。
重層。
庇。
異なる妻面。
毎年行われているこのツアー。
毎年大盛況ですぐに満席になるそうです。
建築ツアーですが、見学されるのは、建築関係者とは限らず。
中には、千代田生命本社ビルであった時に使われていた方もいらっしゃるそうで
コンバージョンで変わったところに気づきながら
当時をなぞらえて廻られているそうです。
変わる時代に寄り添いながら
これからも大切に使われるといいですね。
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