アトリエイノウエ

  • 最新情報
  • プロジェクト
  • 概要/プロフィール
  • ご依頼から竣工までの流れ
  • blog
  • お問い合わせ
2013.12.11

プロセス

131211

澄み渡る空。

変わらぬ日常を迎えられることに感謝しながら。。。

第321回集合住宅研究会に伺いました。

 

今回のテーマは

「震災復興まちづくりのあり方」

兵庫県立大学防災センター長、神戸大学名誉教授でいらっしゃる

室崎益輝様の講演をお聞きしました。

 

防災の面から考えられた復興のための様々な視点。

また新たな気づきもありました。

 

特に印象的だったのは、

 

「プロセス」

復興のプロセスが正しければ、復興の結果はおのずと正しくなる。

プロセスをいかにデザインするか?

●総論を先に、各論は後で

●思いを先に、形式は後で

●自立を先に、復興を後に

 

お聞きしてみれば、なるほど~と思うことなのですが、

なかなかできないことですよね。

 

これは、復興に限らず、日常生活においても、日常業務においても、同様のこと。

日頃から心がけていかなければなりませんね。

 

講演の後、皆さんと忘年会。

また新たな出会いもあり、

沢山の刺激をいただきました。

 

ありがとうございます!

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

講演会 メモ

 

【復興の目標と課題】

 

■災害と復興の特質

・災害は、その時代・その社会が内包している矛盾や課題を、時代を先取りする形で顕在化させる。それゆえに復興では、その矛盾と向き合いその克服をはかることが避けられない。

・復興は、「衰えていたものが再び盛んになること」をいう。となれば、新しい質を生む力を獲得するという社会的ポテンシャルに着目して、復興をはかることが欠かせない。

・復興はRevitalization

→「創造」「変革」「自立」が復興に欠かせないキーワード

 

■復興の目標

・自立、安全、変革の3つが復興の基本目標・・・そのいずれが欠けても復興とは言えない。

(1)被災者・被災地が自立できるようにすること・・・暮らし・賑わいなどを取り戻す

(2)悲劇を繰り返さないよう安全にすること・・・防災・減災を最優先に考える

(3)社会が抱えている問題の解決をはかること・・・理想の社会の実現をはかる

→自立と安全は、復興の必要条件しかし十分条件ではない。

「安全は隠し味!」

 

■復興の課題

・三つの「生」と三つの「自」を、以下の六つの課題の具現化の中で獲得する。

①生命、生業、生態 ②自立、自由、自治

六つの課題・・・「医・職・住・育・連・治」

(1)医・・心身の保護、福祉とケア

(2)職・・産業、仕事、なりわい

(3)住・・すまい、まち、生活文化

(4)育・・教育、子育て、人材育成

(5)連・・つながり、絆、環境共生

(6)治・・自治、ガバナンス

 

【復興の過程と運動】

 

■復興過程のデザイン

・復興のプロセスが正しければ、復興の結果はおのずと正しくなる・・プロセスをいかにデザインするか?

・戦略・・段階復興

~総論を先に、各論を後で

~思いを先に、形式は後で

~自立を先に、復興を後に

・規範・・物語復興

~みんなで夢を紡ぐ、相互理解と社会包摂

・態勢・・協働復興

~共同参画、中間支援、情報共有

 

■復興過程の原動力

・復興の四つのバネ・・復興の過程では、再起をはかるためのバネ(絶望を希望に変えるバネ)が働く・・そのバネを正しく活かすこと。

(1)気概のバネ(何くそという負けじ魂)

~被災者の自立を促し、勇気を引き出すこと

(2)連帯のバネ(助け合うという連帯感)

~コミュニティなどの「つながり」を保持すること

(3)反省のバネ(過ちを正そうという姿勢)

~被災の原因を正しく捉え、その改善をはかること

(4)事業のバネ(再建のために投入される資源)

~再建に投じられる資源を正しく活用すること

 

■復興過程の態勢

・行政と住民が復興のために協働するのが原点

(1)復興の協働正四面体

~コミュニティ、行政、企業、中間企業体

(2)中間支援の態勢

~媒介機能、専門能力が復興には欠かせない。中間支援組織や復興支援員の役割。専門家、学識者、コンサルの責任

(3)水平連携と垂直連携

~復興のための資源と知恵を共有する。まちづくり協議会、まちづくり支援ネット、円卓会議

 

【復興を正しくすすめるために】

 

■復興の障害

・復興がなぜ進まないのか?復興を妨げる障害を克服することが欠かせない。その障害を克服する力を持たなければならない。

(1)構想の壁・・正しいビジョンが提起されていない

(2)計画の壁・・リアリティのある計画になっていない

(3)時間の壁・・時間に追われて事業を進めている

(4)資源の壁・・情報も人材も財源も知恵も足りない

(5)連携の壁・・人のつながりや信頼関係が壊れている

(6)制度の壁・・復興の思いとのミスマッチが大きい

(7)意識の壁・・能動的に挑戦する意識がやや弱い

 

■復興の構想

・大震災が問いかけた課題に応え、21世紀にふさわしい地域社会をいかに創造するか・・安全だけが課題ではない。

・住みたくなるような地域社会像を提起できているか

~東北のアイデンティティ、日本的なものの再評価

(1)東北の優れた資源を生かす

~文化、コミュニティ、自然

(2)東北の遅れた現状を改める

~経済、公的サービス、防災

ビジョンが貧しいと、被災地に愛想をつかして、人口が流出

 

■復興の時間

・復興や地域づくりは、時間をかけて持続的に推進すべきもの・・「量的な時間」で捉えるのではなく、「質的な段階」で捉えるもの・・「多段階復興」

・急ぐべき時やところで急がず、急いでならない時やところで急いでいる・・スピード感の取り違え

→奥尻の教訓・・「急がばまわれ」

・「時間を限っての予算執行」は、無駄と後悔と破壊を生むだけ

 

■復興の人材

・あまりにも「大きすぎる計画=大風呂敷」」に、人材も財源も情報も時間も追いつかない

・「復興の心技体」を持った人材をいかに育成し、被災地に根付かせるか

(1)地域も減災も知らない専門家の弊害が顕著

(2)他県からの行政職員の派遣の効果は限定的

→心のある復興人材の確保・・正式の職員として採用

→技のある復興人材の確保・・人事の質を高める研修

・できれば、「神戸まちづくり支援機構」のような体制も被災地住民が、信頼できる専門家を選べるように。

 

■復興の制度

・「思いを先に、形は後で」・・制度も形の一つ、制度が先にあるのではない。制度を理由にして復興の足を引っ張ることは許されない。

・望ましい復興を実現するために、最もふさわしい制度を選んで、かつ弾力的に運用する・・災害は進化するため、復興の精度は常に後追いになる・・既存の制度では対応しきれない。

・制度の趣旨や内容をよく理解しないままの、杓子定規な運用がまかり通っている

(1)防災集団移転事業

(2)災害危険地域指定

 

【これからの復興まちづくり】

 

■計画の見直しをはかる

・実情に合わない「復興計画」の、思い切った「見直し」や「手直し」を・・設計も終わり工事も着手している段階で、計画の変更は難しいが、それを放置していては取り返しのつかない事態が起きてしまう・・夢を捨て実を取ることもつかない事態が起きてしまう・・夢を捨て実をとることも

(1)そもそもの復興計画が完全でない

~計画策定の時間不足、合意形成の不十分さ、復興計画理論の未成熟など

(2)計画策定時から「状況」が大きく変わっている

~資源の不足、民意の変化、人工の流出など

・「地区防災計画」の策定による堤防高さの変更や災害危険地域の修正など

 

■「踊り場」の復興を視野におく

・「復興としては長期、まちづくりとしては短期」の事業における中間段階の踊り場のデザインが問われている。最終的な復興への「橋頭保」あるいは「仮の街」をいかに築くか?特に放射能汚染地域において

→復興の最終ゴールの一歩前を考える

弾力的に形が変えられる構造デザイン

バーチャルな暫定コミュニティの形成

通勤あるいは里帰りの「故郷」再生も

 

■制度を弾力的に運用する

・制度が先にあるのではなく、よいまちを造ろうという「思い」が先にある・・その思いを実現するためには、制度面の障害や制約を取り除くようにしなければならない。

(1)弾力的運用

~防災集団移転事業を使ってのまちづくりでは、住宅だけでなく、生きがい仕事の場や日常的利便施設などを一体的に整備できるように考えなければならない

(2)包括的財源

~「復興まちづくり基金」や「包括的復興事業」などによって、復興まちづくりに自由度と創造性を与える

 

■復興主体の再構築をはかる

・長期にわたる復興まちづくりを推進する担い手集団の構築をはかる・・主体なきまちづくりはあり得ない。

「まちづくり協議会」の再構成

~従前のコミュニティにこだわることなく、復興支援のNPOなども巻き込んだ「協働体」をつくる

(1)バラバラになってる被災者とづながりをつくる

(2)新しく居住を目指す仲間を積極的に受け入れる

(3)居住者だけでなく企業家も従事者も一緒になる

(4)地域に愛着を持つ復興支援者とスクラムを組む

(5)女性や若者(子供も)の参画を積極的に推進する

 

■防災を正しく捉えなおす

・復興まちづくりの中で、安全や安心の確保をいかにはかるか?

安全は必要だが十分条件ではない

→防災は隠し味

(1)手段の足し算・・「総合防災」

~ハード、ソフト、ヒューマンの融合

(2)空間の足し算・・「まちなか防災」

~大きな公共、小さな公共の統合

(3)機能の足し算・・「柔らかな防災」

~アメニティ、コミュニティ、セキュリティの整合

author:asuka  | コメント(0)

category: blog集合住宅研究会

コメントをお願いします