日本という方法
おもかげ・うつろいの文化
「日本」を探しに…
松岡正剛さんの
「日本という方法」
を読み終えました。
読書を始めると一気に読み終えてしまうことが多いのですが、
この本は、
1章ごとがとても趣深く、
じっくりゆっくり読ませていただきました。
「日本」とは何か?
何となくこうであろう、と感じていたところを、
様々な視点で体系的、理論的、客観的にわかりやすく述べられており、
読み進んでいくうちに
頭の中がすっきりしてきます。
過去の様々な出来事、文化、思想らの上に現在の
「日本」
があるのだ、
いうごく当たり前のことを、
改めて感じさせられます。
「二項対立ではなく、二項同体。」
「日本の面影は、いまさまよっているかもしれません。
けれども、さまよわない面影なんてないのです。
大切なことは
「おもかげ」や「うつろい」を主題ばかりで埋めつくさないことです。
まだ主題が何かがわからない方法から、
蝶が羽ばたくか、蝉が啼くかを見るべきです。」
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~本書解説より~
■アワセとキソイで「日本的編集方法」を探る
あまたある「日本論」「日本人論」のなかでも
日本を「方法の国」として考えるという、
大胆な試みはされてきただろうか。
何らかの情報を得て受け止める方法のすべてを
「編集」であると見て、
史書の編纂から日記、短歌、連歌にとどまらず、
政治・経済のシステムや、
書くこと話すこと、
生きることそのものまでを
編集行為として捉え、
長年考察し続けられてきた成果をもとに
日本を日本ならしめている「日本的編集方法」を探っていく。
ことさらに「主題」を求めようとするのではなく
歴史に蓄積された
「日本という方法」を発見していく注目の書。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
~目次~
■第1章 日本をどのように見るか
日本人の自信?・一途で、多様な国・日本という方法・日本的編集性・「おもかげの国」「うつろいの国」・プロフィールとしての日本
■第2章 天皇と万葉仮名と語り部
華人ネットワークと朝鮮と倭人・倭人から日本人への道・漢コードの和コード化・万葉仮名の登場・神名と枕詞のつくりかた・場所の記憶が重要だった
■第3章 和漢が並んでいる
和風旅館と洋風ホテル・仮名と非対称の文化・日本文学が日本文化をつくった・紀貫之の日本語計画・官廷文芸の編集・貫之の偽装と冒険・和漢様式の完成
■第4章 神仏習合の不思議
神奈備と産土・神と仏の接近・本地垂 と神社神道・顕密寺社体制と神祇体制・神国思想の波及
■第5章 ウツとウツツの世界
ウツロイ感の広がり・ウツから何かが生まれる・リバース・モードの鍵と鍵穴・無常とウツロイ・ 皆浄土の思想・「常世」と「無常」の往還
■第6章 主と客と数寄の文化
「好み」と「客神」・数寄の文化が発するもの・茶文化の多彩な流行・目利きと同朋衆の登場・和漢の「さかい」」をこえる・連歌の一座の趣向・一座建立と付句の世界・連歌から茶の湯の「見立て」へ
■第7章 徳川社会と日本モデル
日本の本来と将来・秀吉のアジア政策と徳川体制・徳川幕藩とレジティマシー・明の崩壊が与えた影響・山鹿素行の日本モデル・徳川経済のモデル・株仲間の独自性
■第8章 朱子学・陽明学・日本儒学
二宮金次郎が読んでいる本・朱子学と陽明学の導入・王陽明とは何者か・日本の陽明学の動向・安岡正篤と三島由紀夫・新しい日本儒学の心
■第9章 古学と国学の挑戦
日米安保と「からごころ」・本居宣長の編集方法・契沖・荷田春満・田安宗武・加茂真淵の古意の力・真淵から宣長へ・「古事記伝」の壮絶な読み・「本来」と「将来」のあわい
■第10章 二つのJに挟まれて
海を意識しなかった日本・近代日本の「忘れもの」・島崎藤村の「夜明け前」・内村鑑三が苦悩した「二つのJ」・本気の日本が動いた境界線・「和魂」の問いなおし・内村鑑三の提案
■第11章 矛盾と葛藤を編集する
「てりむくり」の可能性・矛盾を消滅させるべきか・二項同体とミニマル・ポジブル・禅がもたらした日本哲学・西田幾多郎の「無の場所」・無の場所のはたらき・絶対矛盾的自己同一・日本の古層と深層
■第12章 日本の失敗
方法には誤 もまじっている・日米の仮想敵国と満蒙問題・対支二十一カ条の要求・日本を改造してしまいたい・密教的天皇と顕教的天皇・北一輝の変貌・統帥権干犯問題・満州事変に突入していく・石原莞爾の日米最終戦争論
■第13章 失われた面影を求めて
「渡」と「瀬戸際」・詩人の抵抗・悲しい存在を見つめる・お家がどんどん遠くなる・「異質性」への憧れ・可能が可能のままであったところ・異胎の国の瀬戸・司馬遼太郎の言いっぷり・「真水」のある日本に
■あとがき
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