2012.7.16
うつつ
「現な像」(うつつなぞう)
目の前にあるものの真とは。。。
写真家、杉本博司氏による「現な像」。
「アートの起源」に続いて読んでみました。
写真家でありながら、建築設計事務所を自らつくられたり、
古美術商をされていた経験などから多くの美術品を持たれていたり、
多岐に渡る視点からの文章に引き込まれていきます。
日本人であることとは。。。と
考えさせられます。
戦争って、文化って。。。
一般的にはタブーとされている領域にも
踏み入れているので、
読みながら、緊張感も生じます。
領域や境界、視界に入るものは、あいまいである方が
真実に近づけるのでは。。。
建築に関する視点も興味深いです。
安藤忠雄氏設計のピューリッツァー美術館 での「溶ける建築」シリーズ。
中庭のコンクリートの建築をも威圧するように設置されたリチャード・セラの彫刻。
この彫刻が一番美しく整って見える視角。
それは、地上30cm、犬の視角だったそうです。
犬の視角から見る彫刻と建築。
杉本氏のフィルターを通して、溶けて見えます。
実物と対面したときに、どう見えるのか。
やっぱり犬の視角に立ちたくなるのか。
この写真一枚を見ているだけで
様々な想像が膨らみます。
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