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2012.2.10

循環

第311回集合住宅研究会に行ってきました。

明治大学理工学部建築学科教授の園田眞理子先生より、

「社会・人口構成からみた今後の家族像、社会像の変化と住宅の変容」及び

「少子高齢社会における住まい、特に高齢者住宅の展望」

についてお話いただきました。

 

言うまでもなく、超高齢化社会において、20世紀型の新築住宅は需要もなく、厳しい状況です。

それでは、今後、住宅は新たにつくるべきか?という問いに対し、

「量(需要)は減るが、人生は長くなる」と言われました。

つまり、65歳未満のための環境は整いつつあるけれど、

65歳以上のための環境はまだまだ不足していることを示さたのです。

 

ハっとしました。

 

「人生は長くなる」このことを、自分自身含め、

あらゆるモノに置き換えると、

世界が開ける気がします。

 

又、Doing(モノを言う人)だけでなく、

Being(モノを言わない、言えない人)が心地よく存在できる社会ができるといいですね。

「あなたがそこにいるだけでみんなが元気になる」

一人一人がそうありたいです。そのためには、心身ともにゆとり(余力)が必要ですね。

 

50年ぶりに「型」をつくるチャンスが来ている、頑張れ!と喝も入れられました。

 

様々な可能性と希望をいただける講演でした。

私たちが頑張らないと!

 

 

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講演内容 キーワード

 

■東京の住宅マーケットの近未来

・2008年の60歳、35歳が象徴的。借家が増えている。

 

■住宅地のライフサイクル

・義務教育期(45歳)→高等教育期(55歳)→熟年期(65歳)→引退期(75歳)→老後(衰弱期)(85歳)

・約50年のサイクル。

 

■郊外住宅地はどのように生成、発展したか。

・植物の成長と同様、幹から枝葉を出し広がっていった。

・60年代「多摩川」、70年代「荒川」、80年代「利根川」

 

■循環型郊外住宅地を目指して~川崎市多摩区の場合~

・未来どのようなことが起こるかは、過去どのようなことが起きたのかを調べれば良い!開発された順に高齢化している。

・川崎市多摩区は、川崎市の最北であり、人口は微増中。

・21世紀人が住宅に求めるのは、価格、広さ、間取りに加え、陽当り・風通し(環境)、防犯(安全)が増えている。

・21世紀人が居住地に求めるのは、交通利便性、子育て環境、防犯に加え、家族の住まいに近い、が増えている。

・駅近の狭小住宅に住む若年層、DINKSと、駅後背に住む団塊世代が、入れ替われる仕組み、地域内循環ができないか。

→高齢者ホーム、高齢者ペンションの提案

 

■地域ケアの主体~エリアマネジメント~

・行政は「安心」で「立地規制と計画経済」を行えるが、「非効率・非競争・変化に鈍重。」

・民間は「信頼」があり「囲い込みと量の確保」を行えるが、「ノンブロフィットで非採算」。

→エリアマネジメントができる第三者機関が必要!

運命共同体・リスクテイク・セルフマネジメント

アメリカでいう「自然発生的リタイアメントコミュニティ」

 

■既存団地における調査より

・西三田団地 「コスモスの家」(専用施設型)

・ 〃    「三田ふれあいセンター」(小規模店舗活用型)

・戸塚区ドリームハイツ地区 「いこいの家夢みん」(住宅転用型)

・   〃         「ふらっとステーション」(中規模店舗転用型)

・60〜70代女性が主体となり運営されている。

 

■郊外住宅団地における住民主体のまちおこし、元気おこしの活動とその発展のために

①問題の共有化:地域の問題は他の地域と広く共有化

②地域に馴染んだ活動と活動拠点の構築:地域に住む人同士が主体的に役割を持って活動

③地域に安心して住み続けられる環境の構築:地域住民主体の「シニア・ペンション」。学生含めた「シェア居住」。

 

■「もう一つの住まい方」の可能性とコミュニティ・ビジネス

・「居住の困窮」と「居住保証」

・健康問題、家族問題、労働問題等の経済保証を統合する。

・20世紀は、家やお金があれば生活が潤ったが、21世紀はその前に医療・介護・食事・見守り等の生活支援が必要。

・住まいは「住宅」と「生活」。

・生活支援のために住み変わる必然が生まれる。

 

■必要な生活支援

・自己判断力の有無により、心身状況を判断する。

・通常の住宅と同様に「住宅の維持・管理」。

・家族の代替機能である「緊急時対応」「生活のコーディネート」→見守りサポート必要。

・心身状況によっては「食事」→心身虚弱時。

 

■地域循環的な非営利事業の組立

静態的な経済循環+ディーセントワーク。 Non-Profif事業

「出資者(現在・将来の入居者)」→「共同出資(地域ファンド)中間的組織」→「住宅(見守り・食事)」

・介護保険や医療支援の他に必要。

 

■「高齢者ペンション」の提案

・マイクロブルジョアのために。コレクティブハウス的な。

・住宅地の一角の少し大きめの家をペンションとする。

・ペアレントによる家族的サポート。

・年金(ペンション)をフルに使う。

 

■「高齢者ホーム」の提案。

・特別養護老人ホーム等は1,000万/床の建築コストが必要。

・ひとつの家を活用した高齢者ホームができないか?

 

■もう一つの住まい方

・市民参加・市民自治

・マネジメント主体の確立

・事業方法確立

・地域資源・人材の発見と活用

 

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質疑応答

●今後、新築の住宅はつくるべきか?

・20世紀型の新築住宅は需要がなく、衰弱する。

・量は減るが、人生は長くなる。65歳未満の環境は充実するが、65歳以上の環境は不足している。

・資本がなくてもできるコンバージョン、リノベーションにも多くの可能性がある。

 

●我々の職能、あるべき姿とは?

・20世紀の仕事は、携帯電話で例えると、端末をつくることであり、広く浸透した。21世紀は様々なコンテンツが求められている。

・コミュニティビジネス。

・箱だけでなく、中身もコーディネートする。

・プチ資本を集める人とタッグを組み、資本集めから関わる。

・10〜20年後に自分が入居しても良いものを創る。

 

●郊外居住の可能性

・日本は、欧米型ではなくアジア型では?。

・欧米が世代毎に分かれて住むのは、治安やエネルギーの問題から。日本は安全で便利なので、郊外居住も問題ない。

 

●国民年金対象者に対して

・生活保護費が13万円/人に対し、国民年金は6万5千円/人と厳しい状態。

・国民年金受給者でもシェア居住すれば、共用部の効率が上がり、生活の質も上がる。

 

●第三者機関の可能性

・自治体と地域をまとめる「地域住宅管理会社」があると良い。

・時間を経て上がる地域の価値として、「みどり」「コミュニティ」「学校(周辺)」がある。

・住宅地は管理されて、住み続けないと維持できない。空家、空き地は伝染する。

・今の住宅地を活用して何かできないか。

 

●計画学に意味があるか?

・外山さんのグループケアのプランは、他用途においても似たプランがあった。

・現在は、「型」がなくなっているので、50年ぶりに「型」を作れるチャンス!

 

●3.11に対する対応

・ノーマライゼーションの思想。

・弱い人(黙っている人:障害者や子供など)が被災されてしまった、非情な状態。

・柳田國男が「明治大正史」で家について言う、母屋と小屋の考えが活きるのでは?

 

●モノを言う人と言わぬ(言えない)人

・モノを言う人(Doing):待ったなしの現場を動かす人。大きな視野がないと全体が見えなくなる恐れがある。全体像を整えられるフォーメーションがない。

・モノを言わぬ(言えない)人(Being):存在していれば良い。「存在就労」の余力が必要。あなたがそこにいるだけでみんなが元気になる。心地よい。

 

●日本のメンタリティ

・リタイアが合わない。

author:asuka  | コメント(0)

category: blog集合住宅研究会

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