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2012.9.21

うねり

大海原を漂う私たちは、

何を目指せば良いのか。。。

 

漂うモダニズム

集合住宅研究会の皆さんの話題に上がっていた、

新建築2012年9月号に掲載された、

建築家、槇文彦さんによるエッセイです。

 

 

50年前のモダニズムは、誰もが乗っている大きな船であった。

そして現在のモダニズムはもはや船ではない。

大海原なのだ。

もちろん、50年前でも船の行き先は分からなかったが、

少なくとも、

船の後尾の白い航跡だけは確かなものだった。

そうした中で、何か変化の予兆として聞こえてくる

かすかな遠雷に気づいていた者ももちろんいたのだが。

 

~ル・コルビュジェ、ミース・ファン・デル・ローエ、フランク・ロイド・ライト、

アルヴァ・アアルト、丹下健三、ルイス・カーン、

エーロ・サーリネン、ヨーン・ウツソン。。。~

 

☆ ☆

 

同じ船の中にいたのだから、

当然意見の衝突もあれば、同志として気炎をあげる者もいた。

その結果、さまざまなグループが評論家、建築家も加わり誕生する。

 

~TEAM X、メタボリズム、アーキグラム、

ポスト・モダニズム、レイト・モダニズム。。。~

 

☆ ☆ ☆

 

資本主義、情報化社会の登場は、それまでの緩慢な流れとしての

モダニズムの進展を許さなかった。

そしてモダニズムは次第にさまざまなアイデアの攪拌器と化していった。

スープでいえば、中にどのような素材が入っているかが分かる

ブイヤベースやケンチン汁でなく、

食材が正体不明のポタージュ化しつつあるといってよい。

我々は今や大海原にひとり、ひとり、漂っている。

 

~誰もが自由であり、何でもありの時代に到来。

野武士の数は確実に増えつつある~

 

☆ ☆ ☆ ☆

 

評論家たちの論陣が、我々に、一隻の船の航跡を、

時には何か見えない未来への暗示も与えてきてくれた。

確かに大海原は、船上と異なった新しい視点を

建築に要求している。

 

~歴史が必ず存在する以上、

過去との関連において現在を知る必要がある。~

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

それではわれわれは今どこにいるのだろうか。

われわれの数限りないアクティビティはどのような表層を

大海原のなかで形成されているのだろうか。

まずわれわれが浮遊する大海原はフラットではない。

フラットであればお互いの可視化は困難になる。

おそらくさまざまな大きさの小波、時にうねりが発生し、

そして互いに干渉し合い、時に消滅していく。

そんな様態が容易に想像され得るのだ。

もしもモダニズムの特徴が時間にあったとするならば、

大海原はより空間的、即ち、個々の位置関係、力関係に関心が集まる。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

それでは果たしてうねりは存在するのだろうか。

それではわれわれはどこに向かって泳げばいいのだろうか。

潮流はあるのだろうか。

たまには小島でなくても、浮き板くらいには遭遇できるのだろうか。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

それではうねりもないのだろうか。

私はあると思う。

それは21世紀という時代は確かに大海原ではあるが、

水面下ではグローバル社会の特質として

様々なネット・ワーキングが出現しつつあるからである。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

しかし、大海原は必ずしも一様ではない。

太平洋、インド洋もあれば地中海もある。

そこには地域的特性がもうひとつのうねりをつくり出すこともある。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

現在の大海原の状態であるからこそ、

そうしたゼロからの発想と討議が可能になってくる

きわめてエキサイティングな時代なのだ。

ここでも新しい建築評論のあり方が問われているのだ。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

穏やかな日和に

大海原をみんなでぷかぷかと漂っているのは

居心地がよいのかもしれないですが、

そのままではいつか力尽きて沈んでしまいそうです。

 

大海原に漂いながら、

小さな波を見つけたり、つくったり、

少し大きな波を起したり。。。

 

誰かに見つけてもらったり

船を探すことも必要。

 

折角、何でもあり、の時代なのだから、

自分なりに、元気よく航行したいですね。

 

日本のモダニズムを牽引され、今でも発信され続けている

槇さんの言葉は、とても刺激的で、

ずっしりと心に響きました。

 

author:asuka  | コメント(0)

category: blog

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